ここ20年ほどの間に金融再編があり、それに関連して銀行からの莫大な債権が整理回収機構(RCC)やサービサーなど債権回収会社へ譲渡されてきました。一旦整理回収機構やサービサーに譲渡されても、そこに留まらず、その後さらに別のサービサーやファンドなどへ再譲渡されてしまうケースも少なくありません。海外のファンドが譲渡を受けることもあり、その中でも多いのが米国デラウェア州の法人が受け皿法人となっているケースです。
そうなると弁済や消滅時効により抵当権自体は消滅していても、その登記手続きは容易ではありません。ファンドの受け皿となった米国デラウェア州の法人はすでに法人格が消滅しているものが多く、また連絡先が分からないことがほとんどであるため、任意による抵当権抹消登記申請を行うことは相当困難となります。日本の裁判所に対して抵当権抹消請求訴訟を提起することは一般的な選択肢となりますが、その場合でもデラウェア州法人は法人格が消滅しており代表者が存在しないことから、民事訴訟法上の特別代理人選任の申立をすることが実務上の解決方法の一つとなります。この時、被告となるデラウェア州法人は法人格が消滅している、という事実を疎明する必要があります。
デラウェア州会社法にも法人格を消滅させる手続きや要件が示されていますが、その内容は日本の会社法と異なる点もあり、また用語の定義の理解も容易ではないため、裁判所からはその旨の説明を求めてくる場合もあります。
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