外国会社の営業所登記の怖いお話ー宣誓供述書だけに頼る弊害ー

日本で外国会社の営業所設置の登記を申請する際の添付書類は、本店の存在を認めるに足りる書類、日本における代表者の資格を証する書面、定款又は外国会社の性質を識別するに足りる書面、公告方法についての定めを証する書面が必要ですが、巷の本によりますと、訳文作成のことを考慮してAffidavit (宣誓供述書)にすべての情報を盛り込んで、Affidavit(宣誓供述書)を提出する、とされていることが多いようです。

登記の添付書類としてはそれで足りると思われますが、登記申請をする司法書士は上記の情報を実際に確認したうえで、その情報をAffidavit(宣誓供述書)に落とし込む必要があります。安易にクライアントから言われたとおりに登記申請したと思われる事例を以下にご紹介します。

商号も本店も本店での登記に合致しない営業所登記

一つ目の事例は、オランダの子会社でした。仮に商号をABC l B.V.とします。日本の法務局で発行された登記事項証明書を見るとABC l B.V.、本店所在地をオランダ、アムステルダムと登記されているので、オランダの登記所での登記を確認を試みますが、該当の会社がヒットしません。クライアントに確認すると、商号はABC l (アイ)B.V.ではなく、ABCⅠ(ローマ数字の壱-ワン)B.V.だったのです。
この会社、さらに本店所在地も日本の登記簿の住所と異なっています。クライアントに確認すると、日本の登記簿に記載された場所には一度も本店所在地を置いたことがない、とのことでした。受託した司法書士が、営業所設置の準備の際にオランダ登記所の登記事項を確認していれば、この単純ミスは防げたはずだと思われます。また、本人確認が十分になされていない可能性があります。
更正の登記の準備も大変ですが、商号も本店も違う会社は会社として同一性があるのか?と悩んでしまいました。

本国での個人営業が日本では会社として登記された営業所登記

香港で一般的な会社形態は、日本でいうところの株式会社のような有限責任の会社でCompany Limited by Sharesといいます。この場合、商号の最後に必ず“Limited”(中国語の場合は「有限公司」)の文字を入れる必要があります。一方で個人営業やPartnershipの場合もBusiness Registration Officeで屋号を登記することができ、その証明書も発行されます。個人営業やPartnershipの場合、その屋号には“Limited”の文字は使用できませんが、“Company”の文字は使用できるようです。このCompanyをそのまま「会社」と訳してしまうと、日本では法人のように聞こえますが、個人事業の屋号である可能性が高くなります。

先日、この香港のCompanyが「会社」として日本で外国会社の営業所として登記されているを登記事項証明書を目にする機会がありました。香港のBusiness Registration Officeが発行した証明書には法的地位は“Individual”と記載されているのですが、これを無視して宣誓供述書を作成してそのまま営業所設置の登記申請をされたようです。念のため、同じ屋号に“Limited”を追加して香港のCompanies Registryで調査してみるとその会社は、営業所設置の登記の前に解散されていました。

このような登記を未然に防ぐために事前調査をお勧めします。

 

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