シンガポールのCommissioner for Oaths(コミッショナー・フォー・オース)やAdvocates and Solicitorsに日本で使用する登記書類の認証権限があるのか。

1. Commissioner for Oaths(コミッショナー・フォー・オース)とは?

オーストラリアの記事でも記載しましたが、海外には日本にない認証制度があります。
シンガポールには公証人(notary public)以外に認証する権限を有するcommissioners for oathsという資格があります。Supreme Court of Judicature Act(シンガポール最高裁判所法) 第68条によるとcommissioners for oathsは宣誓供述書の認証権限があることがわかります。

(https://sso.agc.gov.sg/Act/SCJA1969#pr68-) シンガポール最高裁判所法第68条
(2) The Senate of the Singapore Academy of Law may appoint fit and proper persons to be commissioners for oaths (subject to any limitations expressed in their appointment) who may do all or any of the following things:
   (c) administer oaths for —
      (ii) taking any affidavit or affirmation;

2. advocate and solicitorに認証権限があるのか?

Commissioners for Oaths Rules(コミッショナー・フォー・オース規則)第3条によると累計7年以上プラクティス経験のあるadvocate and solicitor(日本でいうところの弁護士)はコミッショナー・フォー・オースとして任命される権限がある、とされています。(但し同第7条でその権限に一定の制約が定められています)

(https://sso.agc.gov.sg/SL/SCJA1969-R3?DocDate=19970926)コミッショナー・フォー・オース規則 第3条
 Persons eligible
 3.—(1) An advocate and solicitor who has for an aggregate period of not less than 7 years been in active practice or been a  Legal Service Officer shall be eligible for appointment as a commissioner for oaths.

以上によりcommissioners for oathsは宣誓供述書の認証権限があることがわかります。一方で単にadvocate and solicitorというだけでは認証権限はなく、累計7年以上プラクティス経験があってcommissioners for oathsして任命されたadvocate and solicitorだけが認証権限があることがわかります。

3. Notary Public(公証人)との関係

commissioners for oathsと公証人の権限の違いはなんでしょうか。
シンガポールのNotary Public Act(公証人法)第4条(3)(a)(iii)及び同(b)によって、シンガポール国外において使用する目的で宣誓供述書の認証をすること、の記載があります。同第7条では、シンガポール国内において公証人以外が公証人の機能を行使した場合の罰則が規定されています。
よって公証人ではないCommissioner for Oaths(コミッショナー・フォー・オース)には日本の法務局へ提出する書類の認証権限が無いことがわかります。

https://sso.agc.gov.sg/Act/NPA1959 公証人法
Privileges of notaries public
4.—
(3) Without prejudice to the generality of the powers and functions conferred by subsection (1), a notary public may —
 (a) administer any oath or affirmation in connection with any affidavit or statutory declaration which is executed —
  (i) for the purpose of confirming or proving the due execution of any document;
  (ii) by any master or member of the crew of any vessel in respect of any matter concerning the vessel; or
  (iii) for the purpose of being used in any court or place outside Singapore;
(b) take or attest any affidavit or statutory declaration referred to in paragraph (a); and

Penalty for exercise of functions of notary public by unauthorised persons
7. Any person who exercises within Singapore any of the functions of a notary public otherwise than in accordance with the provisions of this Act shall be guilty of an offence and shall be liable on conviction before a District Judge to a fine not exceeding $10,000.

4.外務省による証明(日本でいうところの公印確認やアポスティーユ)

シンガポールは本記事作成時点においては「外国公文書の認証を不要とする条約(ハーグ条約)」に加盟していませんので、アポスティーユではなくシンガポール外務省による証明(Legalisation リーガリゼーション)となります。
シンガポール外務省のリーガリゼーションのページによると、公文書以外の私文書の場合は、公証人による認証、その後(公証人を管轄する)Singapore Academy of Law (SAL)の確認を経た書類のみを外務省によってリーガリゼーションできる旨の規定があります。これは日本の(東京等一部を除く)公証人による認証書類の公印確認手続き(公証人→所属法務局→外務省)と似たような流れとなります。
一方でコミッショナー・フォー・オースの認証した書類にはシンガポール外務省による証明(Legalisation)は為されませんので、コミッショナー・フォー・オースの認証した書類は国外で使用することを前提としていない、ということがこの規定からも読み取れます。

シンガポール外務省
https://www.mfa.gov.sg/Services/Singapore-Citizens/Legalisation-of-Documents
Legalisation of Documents
How do I legalise a non-government document?
• We can only legalise non-government documents after they have been referred to a Notary Public (any law firm offering notarial services) for notarisation and then to the Singapore Academy of Law (SAL) for certification.

5.登記添付書類の認証権限

登記の添付書類に関して、事実認証なのでだれが認証しても同じではないか、と言われることがあります。主にクライアントに言われますが、司法書士からも言われますし、外国官憲にあたる外国の公証人が認証した書類は日本では受理されないという話をした際に、外国の公証人から事実認証なのでだれが認証しても同じと不満を述べられたこともあります。
グローバル時代。このあたりは場あたり的にローカルルールや登記官ルールとして認めるのではなく、例えば国内において認証権限がある人の場合は法務省も登記書類として認めるや、アポスティーユが付く場合にのみ認めるなどの統一ルールを定めるほか、日本で登記申請している人の主だった国籍の制度を調査した上で国別にこの資格の人による認証であれば認める、等、昔の先例・通達を整理した整合性のある指針があれば現場の登記官も司法書士も省力化できるものと考えます。

 

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