Twitter Inc.社 日本における代表者の登記を司法書士観点で徒然なるままに

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Twitter, Inc.社 合併により消滅

Twitter, Inc.社(の存続会社)はTwitter, Inc.社の設立準拠法地であるデラウェア州において、自社が消滅会社となるCertificate of Mergerを2023年3月15日付けで登録した。

存続会社であるX CORP.社も自社の設立準拠法地で、Twitter, Inc.社を消滅会社、X CORP.社を存続会社とするCertificate of Mergerを2023年3月15日付けで登録した。ちなみに、X CORP社の役員は、President, Secretary, Treasurer and Directorの全てがElon Musk氏として登記されている。

さて、Twitter, Inc.社は、令和4年8月12日付けで日本における代表者選任の登記を東京法務局本局にてしている。本国における会社が存在しない以上、日本における代表者に権限はないだろうし、日本における登記も抹消する必要がある。

消滅した会社の日本における代表者の権限は?日本の登記は?

商業登記法128条によると、外国会社の登記の申請については、日本における代表者が外国会社を代表する。しかし、Twittter, Inc.社は既に法人格がなく消滅しており、その法人格がない法人?の日本における代表者には2023年3月15日以降会社法上の権限はないのではないか、と考える。

商業登記法130条では、日本における代表者の全員が退任しようとする場合には、その登記の申請書には、その変更の事実を証する外国会社の本国の管轄官庁又は日本における領事その他権限がある官憲の認証を受けた書面のほか、会社法第820条第1項の規定による公告及び催告をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、当該債権者に対し弁済し若しくは相当の担保を提供し若しくは当該債権者に弁済を受けさせることを目的として相当の財産を信託したこと又は退任をしても当該債権者を害するおそれがないことを証する書面を添付しなければならないとされている。また同3項では、日本における代表者全員の退任は、公告等の会社法所定の手続が終了した後にその登記をすることによって、その効力を生ずる、とされているが、合併の場合は、既に本人のほうが存在しないので、代理人の為した行為が帰属する本人がいないことになる。

今回は、日本における代表者の全員が必然的に本人消滅による代理権終了になると思われるが、会社法や商業登記法では、日本における営業所や代表者を廃止することは想定されているが、日本の登記が残ったままで本国の法人が消滅することを想定していない。 

今回のTwitter社の登記は、同様に会社法・商業登記法に規定のない本国の組織変更(Inc.からLLCへの組織変更など)と同様に扱われ、会社法第933条2項を類推して、存続会社から合併による消滅の登記が必要なのではないか、と想像する。が、組織変更の場合は、法人格が同一の法人が存続するのが前提であるが、今回は組織変更ではなく合併の消滅会社である。

日本の会社同士の合併の場合は、連件申請が必須なので、消滅会社において合併による解散はしたけど、存続会社において合併の登記はされなかった、というのはありえない。今回のTwitter社の場合は、外国会社の登記なので、Twitter社の消滅の登記と、存続会社であるX CORP社の日本における代表者の登記は別々の時期に申請することも可能であろうし、どちらか一方の登記申請がされなくても、他方の登記申請は受け付けられる、ということになるであろう。

以上全て個人の想像の域である。司法書士としては、どんな登記がなされるのか興味がある。

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