英米法系の会社証明書類を見ると、registered officeやregistered agentと言った単語に出くわします。
アメリカには本店が二つある、と誰かが言っているのを聞いたことがありますが、実はregistered office とprincipal place of businessの意味は全く異なります。principal place of businessは日本の本店の概念に近く、実際に事業を行う主たる場所となります。一方でregistered officeは裁判所からの通知や訴状の送達場所となります。Registered officeの住所地に赴いてもそこには会社はありません。事件があった際などにテレビ局のカメラがregistered office住所地へ行き、“ここには何千もの会社が登記されていますが、その実態はなく実際にはPaper companyのようです”、といったようなコメントを耳にすることがありますが、registered office はそもそもそういう場所なので、そのコメントのほうがおかしい、ということになります。
ちなみに訴状の送達のことをservice of processと言います。国や州により異なるかとは思いますが、設立準拠法の国内・州内にprincipal place of businessやphysical place of business を置いていない場合は、registered officeを届け出る必要があることが多いようです。このregistered officeはregistered agent と言われる専業の業者の住所となっていて、registered officeもregistered agentもその名の通り会社の登記事項として登記(“registered”) されています。
英米法系のクライアントから、先生のオフィス住所をregistered office address として使わせてほしい、と依頼があった場合は、日本にはregistered office の概念がなく、実際のprincipal place of businessで登記してください、とアドバイスすべきかと思います。
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